中2の夏、私は近所の進学塾に通ってた。
教室に早く着きすぎたある日、ひとりの大学生っぽい男の人が職員室から出てきて、廊下で私に笑いかけてくれた。
「こんにちは、もう来てたんだね」
その瞬間、なんか胸がズキンとした。
その人は塾のチューターで、名前は「こうへいさん」。
担当は高校生クラスだったけど、職員室や自習室でたまに顔を合わせるようになって、話す回数も少しずつ増えていった。
「今日、難しかった?」
「うん…関数、わけわかんない」
「じゃあ、今度ちょっとだけコツ教えてあげるよ」
そう言って、笑ってくれた顔が優しくて、私はいつの間にかこうへいさんのことが好きになってた。
ある日、塾の帰りが遅くなって、偶然玄関前で会った。
「暗いから、ちょっとだけ途中まで一緒に帰ろうか」
私、うなずくのが精いっぱいだった。ドキドキしすぎて。
並んで歩く帰り道、緊張でぎこちない私に彼はこう言った。
「中2って、もう大人っぽくなる頃だよね」
「…そうですか?」
「うん、少し前まで小さな子だと思ってたのに、びっくりするくらいちゃんとしてる」
その言葉が嬉しくて、私は調子に乗って「大人に見えますか?」なんて聞いちゃった。
「うーん、半分くらいかな。大人っぽくなったけど、まだ守ってあげたい感じかな」
帰り道の最後、信号が青になるまでの時間、私は彼の横顔をじっと見てた。
「こうへいさん、優しいですね」
「それは…キミが真面目だから、ちゃんと応援したくなるんだよ」
その夜、ひとりで布団に入っても、ずっと顔が熱くて眠れなかった。
こうへいさんにとって私はただの生徒。でも私は、ちゃんと本気だった。
背伸びしても届かないってわかってたけど、それでも恋せずにはいられなかった、夏の終わり。
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