SNSのDMから始まった恋の話

高校3年生の春。私は友人の勧めで、インスタグラムにアカウントを作った。最初はただの暇つぶしだった。誰にも見られない日記代わりみたいなものだ。

それからしばらくして、ある人からDM(ダイレクトメッセージ)が届いた。それは私に
「友達になろう」
と言う内容だった。初めは警戒していたけれど、メッセージのやり取りが楽しくなっていき、いつしか頻繁に連絡を取り合うようになった。

彼の名前は拓海。同じ高校に通う1つ年上の先輩だった。明るくて優しい性格の彼は、いつも私の話を楽しそうに聞いてくれた。時には冗談を言って笑わせてくれることもあった。そんな彼との時間が、私の日常の中で少しずつ大切なものになっていった。

ある日、拓海から
「週末、一緒に映画を見に行かない?」
と誘われた。ドキドキしながらも、喜んで承諾した。待ち合わせ場所で彼を見ると、想像以上に爽やかで素敵な人だった。映画館までの道すがら、手を繋いでくれた時は心臓が飛び出そうになった。

映画を見終わった後、カフェでお茶をした。そこで彼は、私の好きなアーティストの話題を持ち出してきて、二人で盛り上がった。帰り道では夜景の綺麗な公園に寄り道して、ベンチに座って星を見上げた。

それから私たちは付き合い始めた。毎日が新鮮で楽しいことばかりだった。でも、受験シーズンが近づくにつれて、お互い忙しくなり、会う機会は減ってしまった。それでも、DMでのやり取りは続いていた。試験勉強の合間に励まし合ったり、笑いあったり。そんな日々が過ぎていった。

高校卒業後、私たちは別々の大学へ進学することになった。距離が離れるにつれ、関係も薄れていった。拓海から連絡が来ても、返信が遅くなることが増えていった。そしてある時、ついに拓海からの連絡が途絶えた。

「ああ、もう終わりなんだな……」

その瞬間、胸が締め付けられるような痛みを感じた。思い出が次々と蘇ってくる。一緒に見た映画のシーン、カフェで笑い合った時間、星空の下で語り合った言葉……。どれもかけがえのない宝物だった。

それでも、時は流れていった。新しい生活が始まり、周りには新たな友人たちもできた。だけど、心のどこかにぽっかり穴が空いてしまったみたいで、満たされない日々が続いた。

数年後、偶然にも拓海と再会した。街中で偶然目が合った瞬間、お互いの存在を認識することができた。懐かしさと共に、様々な感情が押し寄せてきた。しかし、もうあの頃のような気持ちは戻ってこないことを感じていた。

拓海と一言二言交わして別れた後、ふと彼とのやり取りを振り返った。SNSで始まった私たちの関係は、儚い夢のように消え去ってしまった。でも、あの時感じた幸せや喜びは本物だった。

今思えば、あの日の返信がなければ今の私は存在しなかったかもしれない。拓海との出会いが、私の人生に色を添えてくれたのだ。

もしまた誰かとの出会いが待っているなら、迷わず手を伸ばしたいと思う。どんな形であれ、繋がりを持つことは大切だと気づかせてくれたから。