その日、私はすごく機嫌が悪かった。
大学時代からの親友3人と、2泊3日で大阪旅行。
メインイベントは、みんなで計画していたユニバーサル・スタジオ・ジャパン。
…のはずだった。
些細なことで揉めてしまい、朝から空気は最悪。
「もう私、ひとりで回るわ」と言ってパークに入ったけど、内心では正直泣きたかった。
でも、せっかく来たんだし、楽しむしかない。
シングルライダーで乗った「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」で、隣に座ったのが彼だった。
「あ、俺もひとりです」
乗車前、ちょっとぎこちなく微笑む彼。
私もなぜか笑い返してしまった。
「じゃあ、一緒に叫びましょうか」
「叫ぶタイプなんですか?」
「いや、ビビりです(笑)」
安全バーが下がるとき、なぜか隣の彼と並んで座ってることに、妙な安心感を覚えてしまった。
そして、降りたあとの彼が言った一言が、なんだか優しくて嬉しかった。
「…顔見たら、ちょっと元気そうになってた気がする」
そのまま別れると思っていたら、パークの出入り口に向かう階段でまたばったり会った。
「え、また?(笑)」
「これはもう、一緒に回る流れですかね?」
彼の名前は航平(こうへい)くん。
26歳で、関西在住。友達と来てたけど、みんな疲れて一度ホテルに戻ったらしい。
「俺も今、ほぼ一人旅状態です」
「私もです。友達とちょっとだけ揉めちゃって」
「それなら、なおさら一緒に回ったほうが楽しいかも」
気づけばふたりでスパイダーマンのアトラクションに並んでいた。
話してみると、航平くんは柔らかくて聞き上手で、私の話をちゃんと拾ってくれた。
「関東から来たんだ?遠かったでしょ」
「新幹線は爆睡でした」
「わかる。あの揺れ、最強の睡眠薬ですよね」
「わかってくれて嬉しい(笑)」
どのアトラクションでも、ふたりで爆笑しながら楽しめた。
気まずさも緊張もなくて、ずっと前からの知り合いみたいな空気が、心地よかった。
夕方、シンボル前のベンチで休憩していたとき、彼がふいに言った。
「このあと、晩ご飯いきません?」
「え、いいの?」
「もちろん。ていうか、今日は一緒にいてくれて助かってます」
梅田方面に出て、駅ビルのカジュアルな洋食屋に入った。
普段なら初対面の人と2回目の食事なんて考えられないけど、今日は自然だった。
「なんか、初対面じゃないみたいですね」
「それ、私もずっと思ってた」
食事中、ふたりともスマホをあまり触らなかったのが印象的だった。
「目の前の人とちゃんと向き合いたい」って気持ちが、お互いにあったんだと思う。
別れ際、駅の改札前で、彼が言った。
「また会いたい。…できれば、ちゃんと時間作って」
「…うん。私も、そう思ってた」
LINEを交換して、私は深呼吸してからホームに向かった。
あの時、一人きりで乗ったアトラクションが、まさか「最初の出会い」になるなんて。
旅行中に喧嘩したことも、今では全部含めて、忘れられない思い出になっている。
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