夏の花火大会で迷子になった時の出会い

あの夏は、まるで夢のように過ぎ去ってしまった。別れた後もずっと忘れられない、大切な思い出。今でも時々、あの日のことを思い出すと、胸が締め付けられるような感覚になる。彼の名前は仮 隆二。3つ年上の、大学生だった。

出会いは、私が高校2年生の夏休み、地元の花火大会だった。友達と一緒に行ったのに、途中で迷子になってしまって。泣きそうになりながら歩いていると、
「大丈夫?」
と声をかけてくれたのが隆二だった。
「良かったら、一緒に見に行かない?花火、綺麗だから」
そう言って微笑んでくれた彼の顔が、とても眩しく見えたのを覚えている。

それから、よく一緒に花火大会を見に行くようになった。毎回、隆二が
「今度はここに行ってみようよ」
と誘ってくれて、いろんな場所に行った。海辺、公園、山の上……どの場所でも、隆二といると不思議なくらい落ち着いて、幸せな気持ちになれた。

でも、私たちは違う世界の人間だった。隆二は大学生で、私はまだ高校生。歳の差は埋まらないし、彼には大学生活があって、私は高校生活があった。少しずつ、二人の距離は離れていった。

「そろそろ、卒業だね」

隆二が言った言葉に、胸がズキンとした。

「うん……寂しいけど、仕方ないよね」

そう答えるのが精一杯だった。

別れる時、隆二は私を抱きしめてくれた。

「また、会おうね」

その言葉が、私の心に深く刻まれた。

別れてからも、隆二のことは忘れられなかった。大学受験を終えて、合格発表の日。合格したことを隆二に伝えたくて、LINEを送った。
「合格しました!また、会いたいです」
数時間後、返信が来た。

「おめでとう!でも、俺、もうすぐ卒業だから……ごめん」

胸が張り裂けそうだった。卒業って、そんなに大きなことだったんだ……
卒業式の日、私は学校の正門の前に立っていた。隆二の姿を探していた。

「優奈!」

突然、後ろから声が聞こえた。振り向くと、隆二が立っていた。

「卒業おめでとう!」

そう言って、隆二は私に小さな花束を渡してくれた。

「これ……」
「桜の花。優奈にぴったりだと思って」

花束を受け取ると、涙が溢れ出した。嬉しくて、悲しくて、複雑な気持ちが入り混じっていた。

「ありがとう……」

そう言うのが精一杯だった。

隆二は、その日の夜に地元を離れた。新しい生活が始まったらしい。連絡は取っているけれど、会うことはなくなってしまった。
あの夏は、私にとって特別な思い出になった。隆二との思い出は、いつまでも心の中に残っている。別れても忘れられない、大切な人。また、会いたい。そう願いながら、毎日を過ごしている。