信州ひとり旅で出会った彼と、今も続いてる遠距離恋愛

ひとり旅が好きになったのは、仕事でいろいろうまくいかなかった時期に、ふらっと出かけた京都で気持ちがすごく軽くなったのがきっかけでした。それから毎年、少しずつ行ったことのない場所を選んで、静かな町や自然のあるところを歩くようになって。

今年の夏は、信州の木曽路に行きました。古い町並みと山に囲まれた感じがすごく魅力的で、写真で見た川沿いの道がとても綺麗だったのが決め手でした。あと、正直あんまり観光客が多くなさそうなのもポイントでした(笑)。

着いた初日はすごく天気がよくて、駅を降りた瞬間、空気が東京とぜんぜん違って。気持ちがすーっとする感じ。それだけで「来てよかったな」って思ってたんですけど、実はその直後に方向音痴を発動して、さっそく迷子に…。

地図アプリも動かなくなって焦ってたときに、「観光の方ですか?」って声をかけてくれたのが、今回の“彼”です。
麦わら帽子をかぶってて、Tシャツにジーンズみたいなすごく普通の格好だったけど、なんか安心感のある人で。あんまり都会の人っぽくないというか、ちょっとゆっくりした話し方が、土地の雰囲気とぴったり合ってて。

「このあたり、入り組んでて分かりづらいですよね。よかったら案内しますよ」って言ってくれて、最初はちょっと警戒もしたんですけど、なんとなく変な人じゃないのはすぐわかって。

それで一緒に神社まで歩いたり、おすすめの茶屋に連れて行ってもらったり。地元の草餅がびっくりするくらい美味しくて、「ここ、知られてないけど、地元の人はみんな好きなんですよ」って得意そうに話す彼が、ちょっと可愛かったです。

帰り際、「明日もまだいるんですか?」って聞かれて、「うん、夕方まで」と答えたら、「じゃあ…また少しだけ案内してもいいですか?」って。
なんかその言い方がすごく真面目で、変な下心とか感じなくて、ちょっときゅんとしました。

次の日も朝から待ち合わせして、ちょっとした滝とか川の橋とか、いろんな景色を見せてもらって。だんだん話す内容も自然になってきて、歩きながらふざけて笑ったり、家族の話とか、好きな映画とか、けっこういろいろ話しました。

夕方、高台から夕陽を見てたとき、彼が「…俺、こういうの、なんか不思議だなって思ってる」と言って。
「こういうの?」って聞き返したら、「一人旅してる女の子に、地元の男が出会って、一緒に歩いて、話して。なんか、こんなに自然に過ごせるのが、ちょっと信じられない」って、少し照れながら話してくれました。

そのあと、帰りの道で、彼がポケットからスマホを出して、「よかったら、連絡先…交換しませんか?」って。
私も内心すごく聞きたかったから、迷わず「うん」って返事してました。

で、そのあと、駅の近くまで来たとき、少し人通りの少ない小道で、彼が立ち止まって、ふと顔を近づけてきて――。
ほんとに、すごく優しくて、静かなキスでした。長くもないし、映画みたいなロマンチックさもないけど、ちゃんと心に残るキス。

今もその彼とは、遠距離で連絡を取り合ってます。
東京と長野、簡単には会えない距離だけど、毎日LINEしてて、ちょっとした日常を送りあったり、たまに通話したり。次の再会は秋になりそうだけど、それまでに話したいこと、行きたい場所、たくさん準備しておこうと思います。

まさかこんなふうに人と出会えるなんて思ってなかったけど、ひとり旅ってやっぱり不思議で、素敵です。
また、あの町に行く理由ができました。