「付き合おう」とは言われてないけど、もう特別だった

中学の頃から一緒に登下校していた隣の家の悠真くんとは、特別な関係じゃないはずだった。

お互いの家を行き来したり、一緒にテスト勉強したり、朝はだいたい同じタイミングで家を出て、学校までの坂道を並んで歩く。小さい頃からの延長で、そんな時間が当たり前になっていた。

でも、高校2年の春。いつも通りの帰り道、ふと「このままずっと、この関係が続いたらどうなるんだろう」って思ってしまった。

その日の空はきれいな夕焼けで、沈黙がなんとなく心地よくて、だけど少しだけ息が詰まるような不思議な空気が流れていた。

「なあ、最近さ」

悠真がぽつりと話し出す。

「なんか、いろいろ考えるんだよね。将来のこととか、進路とか」

「うん……私も」

「でもさ、お前とはずっと一緒にいそうだなーって、思ったりしてさ」

それはただの冗談かもしれない。でも私は、胸がぎゅっとなった。

「……私も、思うよ。そうだったらいいなって」

それから何も言葉は交わさなかったけど、その日から少しずつ変わっていった。

勉強中に指が触れたら、そのまま引っ込めなかったり。寒い日には、缶コーヒーをもう一本買ってくれて「ほら」って渡してくれたり。

「好き」とか、「付き合おう」とか、はっきり言われたわけじゃない。

だけど、ふとした仕草や沈黙の中に、お互いの気持ちがちゃんとある気がした。

特別って、言葉じゃなくて空気で伝わるんだ。

今も隣の家に住んでいて、今日も明日もきっと一緒に登校する。

それだけで、なんだかすごく幸せだった。

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