“好き”って、言わなければよかった?

「……ごめん」

たった一言だった。
でも、その“ごめん”が、私のすべてを壊した。

好きだった。
どれくらいかって、
呼吸するように、彼のことを考えてたくらい。

だけど──
彼には、他に好きな人がいた。

それでも、想いが膨らんでしまった私は、
“告白して終わらせる”つもりで言った。

「ずっと、好きでした」

答えは、わかってた。
でも、信じたかった。
この気持ちが、誰かの心を少しでも動かせるって。

「ごめん……俺、そういうふうには見れなかった」

静かな夜だった。
風がひとつも吹いてなかった。
私の中だけが、大きく崩れていった。

それから何日も、
自分を責めた。

“言わなければ、失うこともなかった”って。

気まずくなることもなかったし、
笑い合えた時間も、もっと続いたかもしれない。

でも、
それでも私は──

あの時、「好き」と言った自分を、嫌いになれなかった。

あの告白は、
彼のためじゃなかった。
私が、私を裏切らないためにしたことだった。

本当の“好き”って、
伝わるためだけにあるんじゃない。

誰かを好きになった自分を、
ちゃんと認めてあげるために、
必要な言葉だった。

「言わなければよかった」なんて、
言いたくない。

だから私は、あの日を後悔しない。

たとえ返ってきたのが“ごめん”でも、
私は確かに、恋をした。