お弁当を交換した日から、ちょっとずつ心が近づいた

高校に入ってすぐの頃、私はお昼休みがちょっと苦手だった。

友達ができるのが遅くて、一人でお弁当を食べるのが気まずくて、教室の隅っこで食べたり、たまにトイレにこもったり。誰にも嫌われてるわけじゃないのに、なんとなく輪に入りそびれていた。

そんなとき、隣の席の男の子――立花くんが、何気なく声をかけてくれた。

「それ、手作り?美味しそう」

私は戸惑いながらも頷いた。「うん。お母さんが作ってくれてる」

「俺の、ちょっと食べる? からあげ、自信あるんだよね。自分で揚げたやつ」

彼の弁当箱には、確かに立派なからあげがぎっしり詰まってた。まさか男子高校生が自分で作ってるなんて思わなかったけど、からあげは香ばしくて、本当に美味しかった。

そこから、少しずつ会話が増えていった。お弁当を少し交換し合うのが当たり前になって、彼が料理好きだって知ったし、私は逆にごはんを作ってもらうのが嬉しくて、楽しみになっていった。

ある日、私もお返しに、卵焼きを作ってきた。

「今日、私が作ったの、食べてみて」

「……え、まじで?もしかして初?」

「うん、初めて。昨日めっちゃ練習した」

彼は照れながらも、真剣な顔で食べてくれて、「めっちゃうまい」って言ってくれた。その瞬間、なにかが胸の奥でふっと弾けた気がした。

それからは、教室でももっと話すようになったし、友達とも自然に混ざれるようになっていた。

きっかけは小さな“おかず”の交換だったけど、あのからあげと卵焼きが、私の高校生活を変えてくれた。

そして、いつかちゃんと伝えたいって思ってる。

「私、あのとき助けられたんだよ」って。

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