気づくのが遅くて、ごめん。君だけがずっとそばにいてくれた

大学2年の春、俺はずっと気になっていた女の子に告白しようとしていた。
同じサークルの先輩で、きれいで、みんなの人気者みたいな存在。

俺なんかが好きになっても仕方ないって思いながら、
それでも諦めきれずに、仲良くなって、誘って、タイミングを探していた。

その時、相談に乗ってくれてたのが、同じサークルの友達の凛(りん)だった。

「どう思う? 俺、いけると思う?」
「うーん、がんばってみたら? 〇〇くんは優しいし、ちゃんと伝えれば届くかもよ」

凛は、いつも通り明るくて、少しだけ茶化すような口調でそう言ってくれた。
正直、そのときは何も気づいてなかった。
凛がいつも、俺を見てくれていたことに。

告白は…うまくいかなかった。
「ありがとう。でも、そういうふうには見れないかも」
そう言われて、終わった。

帰り道、雨が降ってきた。
傘を持ってなかった俺に、「バカだなぁ」と笑いながら傘を差し出したのは、やっぱり凛だった。

「なんで分かるの」って聞いたら、
「なんとなく。気になってたから」って。

その“気になってた”の意味も、俺はちゃんと分かってなかった。

その日、彼女と2人で駅まで歩いたとき、
ふとした沈黙のあと、凛が言った。

「ねぇ、〇〇くん。ずっと応援してたけど、ほんとは応援したくなかったんだよ?」

その言葉で、やっと気づいた。

凛の表情が、少し泣きそうだった。
俺は、ほんとに大事な人の気持ちに気づけてなかった。

「…ごめん」って、自然に口から出た。
「気づくのが、遅かった」

凛は「うん、だいぶね」って少し笑って、
「でも今からでも遅くないなら、手、つないでいい?」って小さく言った。

雨はまだ降っていたけど、
傘の中でつないだ手が、ほんのりあたたかかった。

その日から、ふたりで過ごす時間が少しずつ増えていった。

キスも、ハグも、特別な言葉もなかったけど、
それでも、ちゃんと「好き」が育ってる実感があった。

誰かを追いかける恋もいいけど、
隣にずっといてくれた人に気づくことのほうが、
何倍も幸せなことなんだなって、今は素直に思える。

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