彼女と最初に出会ったのは、大学のサークルの歓迎コンパだった。
しかも、最悪な出会い方だった。
自己紹介のとき、僕が名前を噛んで、変な間で止まってしまったのがきっかけで、
隣にいた彼女が思わず吹き出してしまった。
そのときの僕は、ちょっとムッとしてしまって、
「笑わなくてもよくない?」って、思わず冷たい口調で返してしまった。
空気が一瞬、止まった。
彼女も「あ…ごめん」って、ちょっと気まずそうにしていた。
最悪だった。印象も、雰囲気も。
「あの子とは、たぶん関わらないだろうな」って、そのときは思ってた。
でも、次の週のサークル活動でまた顔を合わせて、
たまたま同じグループになったとき、彼女のほうから声をかけてきた。
「こないだはごめんね。つい笑っちゃって。でも、あれ、ちょっと可愛かった」
可愛いって言われたのにびっくりして、思わず笑ってしまった。
それが、ちゃんと会話した最初だった。
話してみると、意外とサバサバしてて、でも気づかいもできて、
第一印象と全然違ってた。むしろ、どんどん惹かれていった。
サークル終わりに駅まで一緒に歩くようになって、
ある日、コンビニの前で立ち話してるときに、ふと彼女が言った。
「ねえ、最初さ、めっちゃ怖かったよ。私」
「…こっちこそだよ」
「でもさ、こうやって普通に話してるの、ちょっと不思議じゃない?」
そのときの笑顔が、すごく自然で、かわいくて、
その瞬間、思ったんだ。
“この人のこと、もっと知りたい”って。
それから、2人で映画に行ったり、放課後にごはん食べたり、
いつの間にか「付き合おうか」っていう言葉もないまま、自然と手をつなぐようになっていた。
キスをしたのは、初めての冬。
人が少ない駅のホームで、帰りたくなさすぎて、
「今、キスしたら怒る?」って聞いたら、
彼女は笑って「怒らないよ。でも、恥ずかしいからさっさとして」って言った。
最初は、ほんとに最悪な出会いだった。
でも、それでもこうやって、今はお互いの一番近くにいる。
人って、最初の印象だけじゃわからないんだなって思う。
むしろ、失敗から始まった関係のほうが、じわじわ深くなるのかもしれない。
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