それでも、愛してるって言いたかった

どれだけ愛しても、
きっとこの想いは、あなたに届かない。

わかってる。
最初から、そうだった。

あなたには好きな人がいた。
その人の話をするあなたの目が優しくて、
その名前を呼ぶときの声が温かくて、
私は、何度も自分の感情に蓋をした。

でも、それでも。
止められなかった。

気づけばあなたを目で追って、
笑ってる顔に胸が苦しくなって、
あなたが落ち込んでると、私まで何も食べられなくなった。

ねえ、これって恋だよね。
こんなにも誰かを想ってるのに、
「好き」って言えないの、なんでだろう。

いや、違う。
言えないんじゃなくて、言ってはいけないんだ。

あなたにその人がいる限り、
私の“好き”は、誰かを壊す。
あなたも、私も、そして──その人も。

だから、私は“あなたの味方”を演じた。
誰よりも理解してくれる存在。
いつでも隣にいて、何も求めない存在。

あなたは言ってくれたね。

「お前がいると、ほっとする」
「誰よりも、俺のことわかってくれる」
「お前みたいな人と付き合えたら、きっと幸せなんだろうな」

ねぇ、それは──
優しさ?
それとも、残酷さ?

わかんない。
わかりたくない。
だって、そんなの、認めたら壊れてしまう。

本当はずっと、
あなたの“隣”が欲しかったのに。

“親友”じゃなくて、“恋人”として、
あなたの名前を、誰よりも特別な響きで呼びたかったのに。

気づかれたくて。
でも気づかれたくなくて。
その矛盾に毎晩泣いて、枕を濡らして、
それでも翌朝には笑って「おはよう」って言った。

苦しかった。
嬉しかった。
壊れたくなかった。
それでも、どうしようもなく、愛していた。

あなたが彼女と手をつないで歩いていくのを見た帰り道、
私は空を見上げた。

「好き」って、こんなに痛い言葉なんだね。

いつか、
あなたが誰かに恋をするたびに、
“私”を思い出してくれたらいいな。

それだけでいいなんて、
ほんとはぜんぜん、思ってないけど。