大学に入ってすぐ、サークルで出会ったのが真帆だった。
初対面のときの印象は、「話しやすい子だな」くらい。
男とか女とか、あんまり意識せずにすぐに仲良くなって、2年くらい普通に“友達”だった。
LINEもよくしてたし、ゼミの帰りに一緒にラーメン食べたり、
悩み相談にも乗るし乗られるしで、お互い何でも話せる関係だったと思う。
「◯◯って彼女できたことあるの?」とか、
「真帆ってモテるでしょ、普通に」みたいな話も、冗談混じりでしてたし。
でも、ある日。
真帆が別の男と一緒に歩いてるのを見たとき、
胸の奥がズキッとした。
「なんで俺、こんなモヤモヤしてんだろ」って、自分でもよく分からなかった。
その夜、LINEで「今日◯◯駅のとこ歩いてた?」って送ったら、
「え、見てた?笑 先輩に奢ってもらったの〜」って返ってきた。
何でもないやりとりなのに、スマホを握る手が少し汗ばんでた。
あぁ、俺、もう“友達”じゃない感情になってたんだなって、そのとき初めて気づいた。
それからというもの、彼女のちょっとした仕草や言葉が気になって仕方なかった。
自分がどう振る舞えばいいのかも分からなくなって、
でも今まで通りを装って会うのがしんどくなってきて、距離を置きかけたこともあった。
そんなある日、彼女のほうから「最近、ちょっとよそよそしいよね」って言われた。
夜の公園で、缶コーヒーを片手に話してたときだった。
「…好きになってた」
黙ってても仕方ないと思って、口から勝手に出た。
「たぶん、ずっと前から。でも、気づくのが遅かっただけかもしれない」
彼女はしばらく黙ってて、
「それ、今言う?」って小さく笑った。
「でも、わたしも。たぶんずっと“好きにならないように”してた」
気持ちを押さえてたのは、お互い様だったらしい。
それから少しして、正式に付き合うことになった。
付き合い始めてからの真帆は、意外と甘えん坊で、
「友達だった頃が懐かしいね」って、隣で笑うようになった。
友達だと思ってたはずの関係が、
今は、となりで手をつないで歩く人になってる。
気づくのが遅くても、想いは届くんだと思えた恋だった。