あのときの“またね”が、ずっと心に残ってる

大学三年の夏、バイト終わりに立ち寄ったコンビニで、私は偶然、元カレに再会した。

「……あれ、友梨佳?」

声をかけられた瞬間、心臓が跳ねた。振り返ると、そこには変わらない笑顔の優斗がいた。少し髪が伸びていて、相変わらず白シャツが似合っていた。

「ひさしぶり……」

そう言うのがやっとだった。別れてから、一度も連絡をとっていなかった。会うこともないままだと思っていた。

優斗とは、大学一年のときに付き合っていた。お互い、初めての本気の恋だったと思う。でも、お互いに不器用で、すれ違いばかりで、最後はちゃんと話し合うこともできずに別れた。

「近くに住んでるの?」

ぎこちない会話が始まって、それでもなぜか自然と昔の調子に戻っていった。あの頃みたいに、彼が一歩前を歩いてくれるのが、懐かしくて、少しだけ胸が痛かった。

気づけば、夜の公園のベンチで並んで座っていた。コンビニで買ったアイスが溶けかけてて、彼がそれを見て笑った。

「こういうの、久しぶりだな。友梨佳と並んでる感じ」

「うん……なんか、夢みたい」

しばらく黙って夜風に吹かれていた。蝉の声と、遠くで電車の音がして、ふたりとも何も言わなかった。

でも心の中では、言葉が溢れそうだった。「あのとき、ごめんね」も、「もう一度やり直せたらいいのに」も。全部飲み込んで、私はただうつむいていた。

そのとき、優斗がぽつりと言った。

「おれさ、あの時、もっとちゃんと話せばよかったって思ってた。今でも、たまに夢に出てくる」

胸がぎゅっとした。涙が出そうになって、でも笑ってごまかした。

「私も。あのとき、言いたいこといっぱいあったのに……」

それだけ言って、あとは何も言えなかった。

「また、会える?」

私が聞いたその質問に、優斗は少し驚いた顔をして、それから小さくうなずいた。

「……うん。またな」

その“またね”が、ずっと心に残っている。

それから彼とは、連絡先も交換せずに別れた。

たぶん、これでよかったんだと思う。

でも、あの夜のことは、私の中でずっと色褪せないままだ。

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