大学のゼミで一緒だった駒井くんとは、なんとなく波長が合う気がしていました。
特別に仲がいいわけじゃなかったけど、グループワークで組むたびに、彼の言葉や動きに安心感があって。
一度だけ、駅までの帰り道が一緒になったことがあって、そこから帰りの時間がかぶる日は自然と一緒に歩くようになっていきました。
話す内容はたわいもなくて、今日の発表どうだった?とか、教授の話が長すぎるって愚痴ったりとか。
でも、そんな時間がわたしにはとても大事に思えてきて、いつの間にか、駒井くんと一緒に歩ける日が楽しみになっていました。
そんなある日、彼の声のトーンがいつもより低くて、「ゼミ、来週から休もうかなって思ってる」って言われました。
理由を聞くと、家のことで少しバタバタしてるらしくて、「なんか余裕がなくなってて」って。
その言葉を聞いたとき、胸の奥がきゅっと締め付けられるような感じがして、「そっか、無理しないでね」って返すので精一杯でした。
その日は少し気まずい空気のまま、駅まで着いてしまって、お互い軽く手を振って別れました。
でも、その夜、やっぱりこのままは嫌だと思って、思い切ってLINEで「話、もう少し聞きたいな」って送ってみました。
すぐに「少しだけなら、近くのカフェでどう?」って返事が来て、急いで準備して、寒い夜道を小走りで向かいました。
カフェで会った駒井くんは、いつもより少しだけ弱い表情で、でも「ありがとう」って言ってくれて。
わたしが「なんか…あのとき、もっとちゃんと話せばよかったって思って」って伝えると、彼は少し笑って、「でも、あの一言、すごく嬉しかったよ」って言ってくれて。
それだけで涙が出そうになってしまって、慌てて顔を伏せました。
カフェを出て、帰り道の交差点に差しかかったとき、信号が赤になって、ふたりで立ち止まりました。
そのとき、「俺さ、また一緒に歩きたいなって思ってた」ってぽつりと言われて。
わたしは驚いて顔を上げたけど、彼はまっすぐ前を見たままで。
「うん、わたしもそう思ってた」って、気づいたら答えてました。
信号が青に変わる頃、彼がそっと手を伸ばしてきて、わたしもそれに応えるように手を重ねました。
手の温もりが、今までのどんな言葉よりも確かで、心がふわっと軽くなるのを感じました。
その日から、わたしたちは少しずつ、お互いのことを知るようになって。
ゼミも、彼が無理しない範囲でまた戻ってきてくれて、以前よりも自然に寄り添える関係になっていきました。
あの交差点の青信号は、たぶん、わたしの中でひとつの始まりだった気がします。
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