あれはちょうど、社会人2年目の初夏でした。
仕事がうまくいかなくて、気分転換に親友と行ったのが「ディズニーシー」。ほんとは晴れ予報だったのに、着いた頃にはしとしと雨が降っていて…。
「ねぇ、これ絶対天気予報外れたよね」
「でも人少ないし、逆にラッキーじゃない?」
カッパを着て笑いながらアトラクションを回っているうちに、少しずつ心が軽くなっていったのを覚えています。
そして事件(?)が起きたのは、**トイ・ストーリー・マニア!**の前。突然、隣にいた親友が「ごめん、お腹痛い…先にトイレ行ってて」と小走りに。
ひとりで並ぶのもなあ、と思って列を抜けようとしたら──
「えっと…よかったら、前に一緒に並びませんか?」
声をかけてきたのは、黒のキャップをかぶった長身の男性。優しげな笑顔が雨の中でもはっきり見えて、なぜかすぐに「はい」と返事していました。
名前はカズくん。話してみると、なんと同じ都内勤務の社会人で、今日も友人たちと来てたけど、ちょうどバラけてしまったそう。
アトラクションを待つあいだ、仕事の話や最近ハマってるドラマのことまで、不思議なくらい話が弾みました。
「俺、こういうの、運命って思っちゃうタイプなんだよね」
「…そういうセリフ、慣れてるんじゃないですか?」
「いや、ほんとに。じゃなきゃ、見ず知らずの女の子に声かけないし」
ふと視線が合った瞬間、ちょっとだけ胸がドキッとしました。
それから、彼の友人グループとも合流して一緒に夜のショーを見て、LINEを交換。帰りの電車でもずっとやりとりが止まりませんでした。
初デートは、あの日のことをなぞるようにまたディズニーシー。
「あの日、雨が降ってなかったら、俺、きっと声かけられなかったと思う」
そんな風に言う彼を見ながら、「雨の日って、悪くないかも」なんて思った私がいました。
それからもう1年。いろんなことがあったけれど、今も彼とは穏やかに続いています。
たぶん、誰かに話したら「そんな偶然ある?」って言われるくらい、ドラマみたいな出会いだったけど──
人生って、意外とそういう奇跡があるものなのかもしれません。