「好き」とか、「愛してる」とか。
言葉にしたら、たった一秒で終わるのに、
それを“続ける”ことは、きっと一生分の努力がいる。
彼と出会ったのは、雨の日だった。
ずぶ濡れの私に、
黙ってタオルを差し出した、
それが最初だった。
恋じゃないと思ってた。
優しさに触れただけだって、自分に言い聞かせた。
でも彼は、何度も黙って寄り添ってくれた。
励ますでもなく、追いかけるでもなく。
ただ、そこに“いてくれた”。
付き合って、すぐにわかった。
この人は、派手なことはしない。
でも、約束を破らない人だった。
「今日もちゃんと、好きだよ」
そんなふうに、毎日を裏切らない人だった。
喧嘩もした。
沈黙が続いた夜もあった。
涙が止まらなかった日も、
“なんでわかってくれないの”って思った瞬間も。
でも彼は、一度も「別れよう」とは言わなかった。
「俺はまだ、君と一緒にいたい」って。
その言葉が、
何度、私の気持ちを引き戻してくれたか分からない。
“愛してる”って、
特別な言葉じゃなくて、
「まだここにいるよ」っていう、毎日の行動なんだと思うようになった。
10年が経った。
同じカップを毎朝並べて、
同じ道を並んで歩いて、
同じ音楽に少しだけ笑って。
それでもまだ、
「一緒にいてくれて、ありがとう」って思える。
それが、愛なんだと思う。
私たちは、誰よりも派手な恋はしていない。
でも、
“一緒にいる”を、何千回も選び続けてきた。
それが、
誰かの恋の見本になるような愛じゃなくても、
“私たちの愛”として、
誇れるものになった気がする。