私たちは、いつも四人で一緒にいた。私と彼、そして、彼が夢中のアヤと、もう一人の友達。私は、そのグループの一員として、いつも彼の隣にいた。
彼は、私にとってのすべてだった。彼の笑い声、彼の真剣な眼差し、彼が私を呼ぶ時の優しい声。その全てが、私の心を温かく満たしてくれた。でも、その温かさは、私だけのものではない。彼の心は、いつもアヤのほうを向いていた。
アヤは、誰からも愛される、太陽みたいな女の子だ。可愛くて、明るくて、少し抜けているところも、彼にとっては魅力的なんだろう。彼がアヤと話す時の、あの特別な笑顔。それは、私に向ける笑顔とは、明らかに違っていた。彼の瞳の奥に、愛と、そして少しの緊張感が混ざっている、あの笑顔。それを見るたびに、私の心は、チクリと音を立てて傷ついた。
私たちは、四人でカフェにいたり、映画を見に行ったり、いつも一緒にいた。彼がアヤを気遣う優しさを見るたびに、私の胸はぎゅっと締め付けられた。
「〇〇も、これ食べてみろよ。うまいぞ」
彼が、私にケーキを分けてくれる時の優しさ。それは、私が女友達だからこそもらえる優しさだ。彼にとって、私は「都合のいい話し相手」であり、「彼の恋を応援してくれる存在」だ。そのことに気づくたびに、私は、笑顔の裏で、自分の心をナイフで切り裂くような痛みに耐えていた。
ある夜、私たち四人で帰っている時、アヤが少しつまずいた。彼が、何も言わずに、アヤの腕をそっと掴んだ。彼の掌が、アヤの腕に触れる。その瞬間、私の心臓は、飛び跳ねるように脈打った。彼の温もりが、アヤに伝わっている。私は、その光景を、隣で笑いながら見つめることしかできなかった。
「俺さ、アヤのこと、本当に好きみたいなんだ」
ある日、彼が私に、そう打ち明けた。私たちは二人きりで、いつものカフェにいた。私の心臓は、ドクンと大きく鳴った。彼は、私を一番の理解者だと思って、この恋の相談をしてくれている。
私は、精一杯の笑顔を作って、彼に言った。
「そっか。応援してるよ」
私の声は、自分が思っていたよりもずっと震えていた。彼の相談に乗っている間、私の掌は、テーブルの下で、強く握りしめられていた。指の爪が、手のひらに食い込むほどの痛みに耐えていた。その痛みが、私に、これが偽りの笑顔だと教えてくれた。
彼の笑顔の隣にいる私。それは、私が望んだ場所だった。でも、そこは、私にとって、一番遠い場所でもあった。彼がアヤを見つめる瞳の優しさ、彼がアヤに向ける特別な笑顔。その全てが、私の心を毎日少しずつ殺していく。
私は、これからも、この苦しい場所で、彼の一番近くの「女友達」として、彼の恋を応援し続けるのだろう。