この匂い、ずっとそばにいたくなる
出会った瞬間に恋に落ちた──なんてことはなかった。 でも、最初にすれ違ったとき、ふわっと鼻をくすぐったあの“匂い”だけは、ずっと残ってた。 甘すぎず、香水じゃないのに印象的で、どこか安心するような、肌の温度みたいな香り。 … 続きを読む
出会った瞬間に恋に落ちた──なんてことはなかった。 でも、最初にすれ違ったとき、ふわっと鼻をくすぐったあの“匂い”だけは、ずっと残ってた。 甘すぎず、香水じゃないのに印象的で、どこか安心するような、肌の温度みたいな香り。 … 続きを読む
「好きです。年の差とか、関係ないんで」 その言葉に、私は思わず笑ってしまった。照れ笑いでもなく、茶化すでもなく──自分のことを、そんなふうにまっすぐ見てくれる人がこの世にいたなんて、まるで夢みたいだったから。 私は40歳 … 続きを読む
“誰かに合わせないと、嫌われる”そんなふうに思ってたのは、いつからだったんだろう。 本音を言うと嫌な顔をされる。空気を読まないと仲間外れにされる。そうやって「いい子」を演じるのが、いつの間にか癖になっていた。 誰かにとっ … 続きを読む
忘れもしない、あの雨の日。大学に向かう途中で突然のどしゃ降りに遭って、私は駅の出口で立ち尽くしていた。 傘は持っていなかった。天気予報をちゃんと見なかった自分を何度も責めながら、どうしようかと周囲を見渡す。でも、朝のラッ … 続きを読む
彼と初めて話したのは、駅の階段でした。 ちょうど帰宅ラッシュの時間で、駅は混んでいたのに、私の前で男の人が小さな女の子の手を引いて、落としたぬいぐるみを拾ってあげていたんです。 その姿がなんとなく気になって見ていたら、そ … 続きを読む
夏休みに入ってすぐ、家族で毎年恒例の海に出かけた。 小さい頃から来ている場所だから、景色も匂いもなんとなく覚えていて、波打ち際を歩いていると懐かしさで胸がいっぱいになった。 そのとき、遠くからこっちに手を振る人がいた。 … 続きを読む
高校の時から一人でふらっと入るのが好きだった、駅前のあの古いカフェ。飾りっ気のない木のテーブルと、店内に流れる静かなジャズ。大学生になっても、空きコマの合間に本を読んだりレポートを書いたり、静かに時間を過ごせるその場所は … 続きを読む
年末の帰省ラッシュで、新幹線の指定席はどこも満席。渋々深夜バスを予約した俺は、22時発のバスに乗るため、新宿のバスターミナルにいた。寒風吹きすさぶ中、人の多さと慣れない夜行バスの空気感に、ちょっと気が重かった。 指定され … 続きを読む
私の朝は、だいたい同じ電車から始まる。 家から最寄り駅まで徒歩8分。急行は混むから、各駅停車に乗って、ぼーっとスマホをいじるのがルーティン。 その日も、いつもと同じ時間、同じ場所に並んで、扉が開くのを待ってた。 …と思っ … 続きを読む
ねえ、これ言ったら笑われるかもしれないけど、私、観覧車ってちょっとトラウマだったんだ。高校の時に、初めて付き合った人と乗って、めっちゃ気まずい別れ話された場所だったから。 それから何年も観覧車は避けてて、むしろ見るのも苦 … 続きを読む
その日、私はすごく機嫌が悪かった。 大学時代からの親友3人と、2泊3日で大阪旅行。メインイベントは、みんなで計画していたユニバーサル・スタジオ・ジャパン。 …のはずだった。 些細なことで揉めてしまい、朝から空気は最悪。「 … 続きを読む