「好きな人できたんだ〜」
そう言って笑う親友の目は、
いつもよりちょっとキラキラしてた。
「誰?」って聞いても、最初は教えてくれなかったけど、
何度か茶化すうちに名前を教えてくれた。
──それが、私もずっと気になってた人だった。
同じ塾で、たまに話す程度。
でも、話しかけてくれるとドキッとして、
手が震えるほど嬉しかった。
「いい人だよね」って言いながら、
私は平気なふりをしてた。
そのあと、親友はアプローチを始めた。
メッセージのスクショを見せてくれたり、
電話したって話をしてくれたり──
私はそれを聞くたびに、
“応援してる自分”を演じてた。
でもある日、彼からメッセージが届いた。
「最近、ちょくちょく目が合う気がしてた」
「なんか、気になってるかも」
その言葉に、
一瞬、全部を投げ出したくなった。
でも私は、
「ありがとう。でも、友達が好きだから、ごめん」って返した。
健全だった。
正しい選択だった。
でも、それだけだった。
その後、彼は親友とも何も起きなかった。
私と彼も、何もなかった。
ただ、私の中にはずっと、
“あの時返事を違えてたら”って後悔が残ってる。
恋は正しさだけじゃ動かない。
でも私は、正しくあることを選んだ。
だから、綺麗じゃないけど、
私の中ではちゃんと、
“誰にも言えない恋”として、終わった。