初めての手、重ねた日
放課後の教室。窓から差し込む夕陽が、床や机に長く伸びて、空気までオレンジ色に染めていた。廊下から聞こえるのは、部活の掛け声やボールの音が遠くに響くだけ。教室の中には、私と彼──二人きり。 私はまだ宿題の続きをしていて、彼 … 続きを読む
放課後の教室。窓から差し込む夕陽が、床や机に長く伸びて、空気までオレンジ色に染めていた。廊下から聞こえるのは、部活の掛け声やボールの音が遠くに響くだけ。教室の中には、私と彼──二人きり。 私はまだ宿題の続きをしていて、彼 … 続きを読む
第1章:手紙が繋いだ、最後の5日間(夜1日目)ニュース速報が流れた午後。世界はあと5日で終わるという事実が、私の心を深い絶望の底に突き落とした。手元にあるのは、差出人不明の、一枚の手紙。 私は、かれこれ5年間、顔も名前も … 続きを読む
最初に彼の手に触れたのは、たしか、あの日だった。 金曜日の夜。サークルの飲み会のあと、最寄りの駅までふたりで歩いていた。酔ってはいなかったけど、夜の空気に少しだけ浮かれていたのは、きっとどちらも同じだったと思う。 彼 … 続きを読む
第1章:孤独とログイン その日も、私は誰とも話さずに講義を終えた。 春なのに、風は冷たくて、大学の構内には新入生らしい華やかな声が響いていた。だけど、私はその輪の中にはいない。通い慣れたベンチの端に腰掛け、リュックか … 続きを読む
「ねえ、ゆうな来てよ。女子2人足りないの」 金曜の午後、大学時代の友人・まいから突然LINEが来た。急遽人が来れなくなったらしく、会社の同期たちとの飲み会(実質合コン)に来てくれという。 正直、合コンにはあまりいいイメー … 続きを読む
あれはちょうど、社会人2年目の初夏でした。仕事がうまくいかなくて、気分転換に親友と行ったのが「ディズニーシー」。ほんとは晴れ予報だったのに、着いた頃にはしとしと雨が降っていて…。 「ねぇ、これ絶対天気予報外れたよね」「で … 続きを読む
最近、マッチングアプリを通じて、ある年上の女性と出会いました。僕は20代後半、彼女は30代前半。プロフィール写真では落ち着いた雰囲気の美人で、メッセージでも丁寧ながらどこか軽やかで、やりとりを重ねるうちに自然と「この人、 … 続きを読む