私は、正直に言うと、出会い系サイトに少し抵抗があった。周りの友達に聞かれても、絶対に言えない。でも、新しい出会いが欲しいという気持ちはあって、こっそりと登録してみたんだ。プロフィールに書かれているのは、顔も知らない、どんな人かもわからない情報ばかり。そんな中で、彼とメッセージを交換するようになった。
彼の名前はヒロト。正直、プロフィールに載っていた写真の彼は、少しチャラそうな雰囲気で、最初は警戒していた。でも、メッセージのやり取りを重ねていくうちに、彼の言葉の選び方や、真面目な仕事の話に、少しずつ惹かれていった。写真からは想像できない、彼の真面目で優しいギャップに、私はどんどんハマっていった。
そして、ついに迎えた初デートの日。待ち合わせは、少し人通りの少ない、でも雰囲気の良いカフェ。緊張で前日は眠れなかったし、何度も鏡の前で服装をチェックした。「写真と違ったらどうしよう」なんて不安もあったけれど、カフェの入り口で彼を見つけた瞬間、そんな不安は全部吹き飛んだ。
彼は、写真で見た通りの、いや、写真よりもずっと素敵な人だった。スラリとした背丈に、落ち着いた雰囲気。目が合った瞬間、彼が「〇〇さん?」って優しく微笑んでくれた。その笑顔に、私の心臓はドクンと大きく鳴った。これが「運命の出会い」ってことなのかな、って、心のどこかで感じ始めていた。
カフェでおしゃべりする時間は、あっという間に過ぎていった。共通の趣味の話で盛り上がったり、仕事の悩みを打ち明けたり。まるで何年も前から知っていたかのように、自然に話ができたんだ。彼が時折見せる真剣な眼差しや、楽しそうに笑う時のくしゃっとした笑顔に、どんどん引き込まれていった。
カフェを出て、私たちは近くの公園を散歩することにした。夕焼けが空をオレンジ色に染めていく、ロマンチックな時間。隣を歩く彼の腕が、私の腕にかすかに触れるたびに、電流が走るようなドキドキを感じた。
公園のベンチに座って、しばらく黙って夕焼けを眺めていた。沈黙が心地よくて、私は彼の隣にいられるだけで幸せだった。その時、彼が私のほうを向いて、少し照れたように言った。
「実はさ、俺も最初は、〇〇さんってちょっとクールな人なのかなって思ってた。でも、話してみたら、すごく可愛らしい人だね」
彼の真っ直ぐな言葉に、私の心臓は飛び跳ねた。私の内面を、こんなにも見てくれていたなんて。私は何も言えなくて、ただ小さく頷いた。
すると、彼が私の手をそっと掴んだ。彼の掌は、私よりも少し大きくて、温かかった。指の節が、私の指の隙間にゆっくりと絡んで、そして、しっかりと私の手を握りしめてくれた。彼の温かさが、私の手のひら全体にじんわりと伝わってきて、胸の奥がキュンと締め付けられた。
出会い系サイトで始まった、私と彼の恋。顔も知らない、何も知らないところから始まった関係が、こんなにも甘くて、温かい特別な恋になるなんて。彼の温もりと、優しく握られた手。私の心は、この出会いから、新しい未来へと向かって動き始めたんだ。