まだ何もしてないのに・もうしてしまったのに

まだ何もしてないのに・もうしてしまったのに

第1章:ソファの距離、あと10cmで恋になる 二人暮らしを始めたきっかけは、たぶん“なんとなく”だった。共通の友人を介しての偶然の飲み会。同じ街に住んでいて、同じ職場に近くて、同じタイミングで物件探してた。 「それなら、 … 続きを読む

わたしが“わたしのまま”愛される日

“誰かに合わせないと、嫌われる”そんなふうに思ってたのは、いつからだったんだろう。 本音を言うと嫌な顔をされる。空気を読まないと仲間外れにされる。そうやって「いい子」を演じるのが、いつの間にか癖になっていた。 誰かにとっ … 続きを読む

もう一度、名前を呼ばれた気がした

名前を呼ばれるって、こんなに嬉しかったっけ。 ずっと昔。私は、自分の名前が嫌いだった。小学生の頃、ちょっと古風な名前だとからかわれて、中学では“呼ばれること”が恥ずかしくて、高校ではあえて目立たないようにして、誰にも名前 … 続きを読む

隣にいたのに、あなたが遠かった

「一緒に帰ろっか」 高校の帰り道、彼はいつもそう言ってくれた。教室の窓際、三列目。私の席の斜め前。声をかけてくれるのは、いつも彼からだった。 最初はただのクラスメイト。でも、文化祭の準備でふたりきりになることが多くて、い … 続きを読む

秘密の鍵は、あの扉の向こうにあった

私がその扉に触れたのは、偶然じゃなかった。大学の図書館の奥、誰も使っていない古い会議室。そこには“共用資料室”という名の、小さな部屋があった。そこにだけ、普通の学生証じゃ開かない鍵が必要だった。 「……それ、君も持ってる … 続きを読む

10年ぶりに戻ってきた初恋

その人の名前を、最後に口にしたのは──高校の卒業式だった。 「じゃあ、またね」って笑った君の顔が、あのときの私の世界の終わりみたいだった。それから私は、わざと忘れたふりをして生きてきた。新しい恋をして、忙しいふりをして、 … 続きを読む

好きで好きで、泣いて笑って──そして、あなたと結婚しました

好きで好きで、泣いて笑って──そして、あなたと結婚しました  その人を、好きになったのは──たぶん、最初に名前を呼ばれた日。  「理奈」  その響きが、空気を震わせて私の胸の奥に届いたとき、心が小さく跳ねた。  気づいた … 続きを読む

恋人じゃなくて、“恋人の役割”だった

「ねえ、私たちって……付き合ってるんだよね?」 その問いを口にしたのは、付き合い始めて三ヶ月が経ったある夜だった。 コンビニの帰り道、ふたりで買ったアイスを食べながら歩いていた時。 唐突だったかもしれないけれど、ずっと胸 … 続きを読む

四度目の好きに、君が頷いた

その日も、断られるつもりでいた。  三度目の告白は、春の終わりだった。  風がやけに温くて、街路樹の緑が眩しかったことだけは覚えている。あの時も、君は困ったように笑って、首を横に振った。だけど、ちゃんと目を見て、返してく … 続きを読む

嘘から始まった関係なのに、最後だけは本気だった

SNSを見ていたら、偶然、恭也が写ってる集合写真が流れてきた。卒業してもう何年も経つのに、あの横顔だけはすぐに分かった。なんでこんなにも心が反応するのか、自分でも分からなかったけど……気づいたら、画面をスクロールする手が … 続きを読む

君となら、どんなステージでも

君となら、どんなステージでも

第1章:孤独とログイン  その日も、私は誰とも話さずに講義を終えた。  春なのに、風は冷たくて、大学の構内には新入生らしい華やかな声が響いていた。だけど、私はその輪の中にはいない。通い慣れたベンチの端に腰掛け、リュックか … 続きを読む