彼の笑顔と、私の胸のナイフ

私たちは、いつも四人で一緒にいた。私と彼、そして、彼が夢中のアヤと、もう一人の友達。私は、そのグループの一員として、いつも彼の隣にいた。 彼は、私にとってのすべてだった。彼の笑い声、彼の真剣な眼差し、彼が私を呼ぶ時の優し … 続きを読む

隣の家の、優しい微笑みと、届かない想い

彼女は、隣の家に住む、私よりも少し年上の人妻だった。 朝、ゴミ出しの時に会うと、「おはよう」って微笑んでくれる。その優しくて、穏やかな微笑みが、私の心をいつも温かくしてくれた。彼女の周りだけ、いつもふわりと優しい空気が流 … 続きを読む

好きって言っても、届かないとわかってた

「好きだよ」何度言っても、その言葉は、あなたに届かない。 言葉にしたとき、あなたは困った顔をした。笑って誤魔化した。あるいは、なかったことのように、話題を変えた。 わかってた。最初からずっと、私のことなんて、“そういう目 … 続きを読む

それでも、愛してるって言いたかった

どれだけ愛しても、きっとこの想いは、あなたに届かない。 わかってる。最初から、そうだった。 あなたには好きな人がいた。その人の話をするあなたの目が優しくて、その名前を呼ぶときの声が温かくて、私は、何度も自分の感情に蓋をし … 続きを読む

隣にいたのに、あなたが遠かった

「一緒に帰ろっか」 高校の帰り道、彼はいつもそう言ってくれた。教室の窓際、三列目。私の席の斜め前。声をかけてくれるのは、いつも彼からだった。 最初はただのクラスメイト。でも、文化祭の準備でふたりきりになることが多くて、い … 続きを読む

秘密の鍵は、あの扉の向こうにあった

私がその扉に触れたのは、偶然じゃなかった。大学の図書館の奥、誰も使っていない古い会議室。そこには“共用資料室”という名の、小さな部屋があった。そこにだけ、普通の学生証じゃ開かない鍵が必要だった。 「……それ、君も持ってる … 続きを読む

言葉よりも先に、気持ちが手を伸ばしてた

あの帰り道のことを思い出すたびに、胸の奥がくすぐったくて、でも少し痛い。もう何年も経っているはずなのに、私はまだあのときの空気を、手の温度を、はっきりと覚えている。 高校二年の秋。私は、同じクラスでテニス部の部長をしてい … 続きを読む

あの日の空気を思い出すたびに

ふと、実家の押し入れを整理していたときに見つけた一枚の写真。あの夏、私と優斗が二人で撮った、あの時のままの笑顔がそこにあった。今でもあの空気を思い出すたび、胸がぎゅっと締め付けられるような気持ちになる。 当時、私は中学二 … 続きを読む

声が震えてもいいから、ちゃんと好きって言いたかった

たぶん、あの人を好きになったのは、2年の秋ごろだったと思う。 席替えで隣になって、最初は「声ちっさ」って言われてちょっとイラッとしたけど、気づいたら毎日話すようになってた。ノートを貸したり、忘れ物を分けたり、そんなことを … 続きを読む

手紙でしか伝えられなかった、まっすぐな気持ち

「今日はさ、ちょっとだけ遠回りしない?」 そんな彼の一言で、いつもとは違う帰り道を歩くことになった。放課後、校門を出た瞬間に夕陽がちょうど沈みかけていて、空がやさしいオレンジ色に染まっていた。 「このへん、あんまり来たこ … 続きを読む

夏祭りの帰り道、はぐれたふりをして手を繋いだ──中3の私の精一杯の背伸び

夏祭りって、なんであんなに特別なんだろう。屋台の明かり、遠くから聞こえるお囃子、浴衣の音。全部が非日常で、全部がちょっとだけ恋に背中を押してくれる気がする。 その日、私は中学3年。好きだったのは同じクラスの大翔(ひろと) … 続きを読む