彼の傷と、私の指先

彼には、誰もが気づく、深い傷があった。 彼の右目の上から頬にかけて、大きく残るその傷は、まるで彼が、この世界から自分を隔てるための境界線のようだった。彼はいつも無表情で、誰とも目を合わせない。周りの人も、彼のことを遠巻き … 続きを読む

彼の笑顔の隣にいる私と、もう一人の私

私の恋は、甘くて、少しだけ苦い味がする。 彼と付き合って一年が経つ。彼は誰にでも優しくて、誰とでも分け隔てなく話す、太陽みたいな人だ。そんな彼に、私は夢中だった。でも、彼のその優しさが、私を時々、深い闇の中に突き落とす。 … 続きを読む

京都まで来てくれるなんて、ちょっと期待してしまうよ

「ねぇ、京都って行き慣れてる?」 急にそんなLINEが届いたのは、水曜日の昼休み。相手は社外の取引先の人、って言うとちょっと堅苦しいけど、実際はイベント企画会社の営業担当で、たまに仕事で電話したり、打ち合わせで顔を合わせ … 続きを読む

バイト先の先輩に恋をして、やっと自分の居場所が見つかった気がした

大学2年の夏、正直、何をするにもやる気が出なかった。講義には行ってたけど、ただ出席してるだけ。友達ともつかず離れずの距離で、気づけば、家と学校とコンビニしか行かない日々が続いていた。 「そろそろ何かしなきゃな」と思って始 … 続きを読む